心筋梗塞の再発の確率とその原因
心筋梗塞を治療しても一定確率で再発する可能性があります。
再発率はカテーテル治療とバイパス手術とで異なり、
一般的にバイパス手術のほうが再発率は低い傾向があります。
カテーテル治療で心筋梗塞を治療した際、
再発する確率は数%〜50%程度です。
カテーテル治療の再発率でこのような幅があるのは
どのような治療を行ったかによってその再発率が大きく変わってくるからです。
再発率が最も低い薬剤溶出ステントを使用した治療での再発率は2〜10%程度です。
薬剤溶出ステントは血管に留置された後、血管表面にステントがむき出しになった状態が続きます。
するとむき出しの部分に血栓が付着し再び冠動脈が閉塞し、心筋梗塞が再発します。
薬剤が塗られていない普通のステントを使用した治療での再発率は20〜30%程度です。
この治療では、ステントが留置された後、免疫反応によってステントの内側に内膜が張りやすい状態になります。
その内膜が過剰に分厚くなると、やがてステントの内腔を閉塞させ、心筋梗塞を再発させます。
カテーテル治療で最も再発率が高いのがバルーン治療で、術後30〜50%くらいの確率で再狭窄し、心筋梗塞が再発します。
バルーン治療の場合、病変をバルーンで拡張した後にステントを留置しないため血管が再び閉塞しやすい状態が続きます。
すると、ちょっとしたことですぐ治療した部分が閉塞し再発するのです。
カテーテル治療の場合、薬剤溶出ステントを使用するか、通常のステントを使うか、バルーン拡張だけで治療するかで再発率が大きく変わってきます。
再発率という点だけに着目すると、すべての治療で薬剤溶出ステントを使用すればよいように思えるかもしれませんが、そうではありません。
それぞれの治療にはメリットとデメリットがあるため、患者さんの状態を考慮して医師が総合的に判断していきます。
バイパス手術の場合、再発率は術後5年で3%以下
なぜバイパス手術がこれほどまでに再発率が低いかというと、
もっとも動脈硬化が起こりにくい血管を選んでバイパス手術を行っているからです。
そして、バイパス手術で使用した血管は平均で約30年もちます。
血管の寿命は患者さんの生活習慣によって大きく変わり、
しっかり健康管理されている患者さんなら30年以上もつこともあります。
バイパス手術で心筋梗塞が再発するケースとしてよくあるのが
バイパスに使った血管が狭窄するパターンです。
このとき、狭窄した部位を治療するにはカテーテル治療を優先して行います。
なぜなら、バイパス手術の場合、再狭窄部位を再度バイパスによって治療しようとしても
癒着などの理由で手術のリスクが高く不向きだからです。