さあ、今日もエクササイズの時間だ!
今日のエクササイズはIVUSの計測方法だ。
PCIでは、IVUSを計測することで、
ステントやバルーンのサイズを決定したり
ステントの留置が上手くいったかどうか確認するぞ!
IVUSの計測はPCIを行う上で必ずマスターしなければならない必須スキルだ。
このエクササイズを通して、しっかりマスターしよう!
これがIVUSの計測方法の全貌だ! ↓
IVUS計測のタイミング
・前拡張の直前
・ステント留置後
前拡張の直前のIVUS計測の目的と部位と注意点
<目的>
バルーンやステントのサイズ決め
<IVUS計測部位>
・病変の遠位部の血管の平均径(*ステントの径を決めるのに重要)
・病変の近位部の血管の平均径(*ステントの径を決めるのに重要)
・病変の長さ(*ステントの長さを決めるのに重要)
<注意点>
①病変の遠位部及び近位部の位置決めは、なるべくプラークの少ない場所に設定する
②平均血管径を計測する際は、DESを留置する場合は内腔の平均径を、BMSを留置する際はEEMの平均径を計測する
ステント留置後のIVUS計測の目的と部位と注意点
<目的>
ステントの留置が成功したかどうか判断するため
<IVUS計測部位>
・留置したステントの最狭窄部位での平均内腔径
<ステント留置の成功指標>
①ステントの最狭窄部位での平均内腔径が2mm以上
IVUSの計測方法について整理していくぞ!
IVUS計測のタイミングとその目的
IVUS計測には
①前拡張の直前
②ステント留置後
の2つのタイミングがある。
それぞれ計測するタイミングにより、計測する目的が異なるからしっかり理解しておこう。
前拡張の直前で行うIVUS計測は、バルーンやステントのサイズを決定する為に行うぞ!
具体的には、病変の遠位部と近位部の血管の直径を計測してバルーン/ステントの太さを決定し、
病変の遠位部と近位部の距離(病変の長さ)を計測することでバルーン/ステントの長さを決定するんだ。
そして、ステント留置後のIVUS計測では、ステントが良好に留置されたかどうかを確認するぞ!
具体的には、ステントがもっとも狭くなっている部位の平均径を計測する事で
ステントが十分に拡張されているかどうかを確認していくんだ。
ステントが十分な大きさに拡張されており、かつ血管壁に圧着されていれば
ステント留置は成功し、PCIが終了となるぞ!
前拡張の直前のIVUS計測部位と注意点
前拡張の直前で行うIVSUの計測部位は
・病変の遠位部の血管の平均径(*ステントの径を決めるのに重要)
・病変の近位部の血管の平均径(*ステントの径を決めるのに重要)
・病変の長さ(*ステントの長さを決めるのに重要)
の3カ所だ。
計測する順番としては、
遠位部血管径→近位部血管径→病変長の順番で計測するとスムーズに手技が進むぞ!
<血管径を計測する際の注意点>
病変の遠位部及び近位部の血管径を計測する際に注意するポイントは2つあって、
①遠位部及び近位部の位置決めは、なるべくプラークの少ない部分に設定する
②平均血管径を計測する際は、DESを留置する場合は内腔の平均径を、BMSを留置する際はEEMの平均径を計測する
以上の2点を気をつけるといいぞ!
まず、①の病変遠位部及び近位部の位置決めだが、
理想を言えばプラークが全くない正常血管に設定するのが望ましい。
しかし、ほとんどのPCIでそういった部分を見つける事は困難だ。
大抵の症例では大なり小なりプラークがついた場所に位置決をせざるを得ないだろう。
そんなときは、位置決めしたい場所の前後でなるべくプラークが少ない場所を選ぶんだ!
厳密にはIVUS上で狭窄率50%以下の場所で、
最もプラーク量が少ない場所で位置決めすれば問題ないぞ!
次に、②の平均血管径の計測方法だが
これはDES(薬剤用出ステント)を留置するか、BMS(ベアメタルステント)を留置するかで、血管のどの部分の平均径を計測するかが異なるぞ!
(DESとBMSの特性の違いについてはこちらを参照→冠動脈ステント(DESとBMS)を覚えるエクササイズだ!)
DESを留置する場合、血管内腔の平均径を計測し
BMSを留置する場合は、EEMの平均径を計測していくんだ
平均径を計測する方法は簡単だ。
平均径を知りたい場所の長軸と短軸を計測し、その平均値を推測しよう。
(例えば長軸で3.0mm、短軸で2.5mmだった場合、平均径は2.75mmと推測されるぞ!)
<DESとBMSで平均径計測部位が異なる理由>
DESを留置する場合、血管内腔の平均径を計測し
BMSを留置する場合は、EEMの平均径を計測していく。
DESとBMSで平均径の計測部位が異なるのは、ステント留置後の新生内膜増殖が主な理由だ。
一般的にBMSを留置すると1年くらいで新生内膜が増殖し血管が細くなる。
ところが、DESだと新生内膜が殆ど増殖しないため血管は細くならない。
こうした違いにより、
BMSでは、将来の新生内膜増殖により血管が細くなる事を想定して、可能な限り太いステントを留置する。
そのため、BMSではEEMの平均径を計測しにいくんだ。
一方、DESでは将来血管が細くなる心配がほとんどないため、血管になるべくストレスをかけないよう血管内腔に合わせてステントを留置する。
そのため、DESでは血管内腔の平均径を計測するんだ。
<バルーンやステントのサイズの決め方>
病変の遠位部及び近位部の位置を決め、血管の平均径を計測したら
病変の遠位部と近位部の距離を計測しよう!
そして得られた3つの情報
・病変遠位部の血管の平均径
・病変近位部の血管の平均径
・病変長
からバルーンとステントの適正なサイズを決めていくんだ。
サイズ決めには以下を参考にすると良いぞ!
<バルーンサイズの目安>
バルーン径
→DESを留置する場合:平均内腔径と同じか少し大きめ
→BMSを留置する場合場合:平均EEM径より少し小さめ
バルーン長
→病変長より短いものを選ぶ
<DESのサイズの決め方>
ステント径・・・病変の遠位部及び近位部の平均内腔径と同じかより少し大きめ
ステント長・・・病変長より少し長め
<BMSのサイズの決め方>
ステント径・・・病変の遠位部及び近位部の平均EEM径より少し小さめ
ステント長・・・病変長とぴったりの長さ
ステント留置後のIVUS計測の目的と計測方法
IVUSは前拡張の直前だけでなく、ステント留置後にも行っていく。
前拡張の直前で行うIVUS計測は、バルーンやステントのサイズ決めのために行うが、
ステント留置後のIVUS測定は、ステントの留置が成功したかどうかを判断する為に行うぞ!
ステント留置が成功したかどうかは、
ステントによって冠動脈の狭窄が解消されたかによって決められる。
IVUSの指標として内腔の平均径が2mm以下の病変を狭窄と定義している。
そのためステント留置後、ステントのもっとも狭い場所で、内腔が平均径が2mm以上確保されていれば、
とりあえずは狭窄状態が解消されたとしてPCI成功と判断する先生が多いぞ!
具体的な計測方法としては、
①留置したステントでもっとも狭い部分(=最狭窄部位)を探す。
②ステント最狭窄部位の内腔の平均径を推測する。
(平均径はステント内腔の長軸と短軸を平均して推測する)
といった流れで計測していけばOKだ。
もし、このときステント内腔の平均が2mmに満たなければ
後拡張(参照:PCIの手技手順を覚えるエクササイズ)を行い内腔をさらに広げる必要があるぞ!