さあ、今日もエクササイズの時間だ。
今日のエクササイズは、PCI(経皮的冠動脈形成術)の手技の手順だぞ!
PCI(経皮的冠動脈形成術)とは、狭窄病変にステントを留置することで冠動脈の血流量を確保する、虚血性心疾患に対する手技のことだ。
労作性狭心症、不安定狭心症、急性心筋梗塞の患者さんがPCIの適応となりうるぞ!
頻繁に行われる手技だから
このエクササイズを通して、手技の手順をマスターするんだ!
これが、PCI(経皮的冠動脈形成術)の手技の流れを覚えるエクササイズの全貌だ!↓↓
~PCI(経皮的冠動脈形成術)の手技の流れ~
①穿刺してシースを留置する
②シースからガイドワイヤーを先行させ、ガイディングカテーテルを挿入、留置する
③冠動脈造影(CAG)にて狭窄病変の位置と病変形態を確認する
④狭窄病変にPCI用ガイドワイヤーを挿入する
⑤IVUSで狭窄病変の性質(石灰化、プラークが多いなど)、長さ、血管径を確認
⑥バルーンで狭窄病変を拡張する(=前拡張)
*前拡張のことをカテ室では「プレ」と呼ぶことが多いぞ!
⑦ステントを狭窄病変に留置する
⑧IVUSで留置したステントの状態を確認する
(⑨ステントの拡張が不十分であればバルーンで留置したステントを圧接(=後拡張)、再びIVUSでステントの状態を確認。
*後拡張のことをカテ室では「ポスト」と呼ぶことが多いぞ!)
⑩冠動脈造影(CAG)で治療した病変を確認する
⑪挿入したデバイスとシースを抜去する
PCI(経皮的冠動脈形成術)の手技の手順について整理していくぞ!
まず、PCI(経皮的冠動脈形成術)が
ステントを留置するための手技であることを
もう一度確認しよう。
そして、ステントを留置する前後で
・冠動脈造影(CAG)
・IVUS
・バルーン拡張
この3つを行っていく。
それぞれステント留置の前後で目的が違うぞ。
その違いをまとめたのが下の表だ!
■ステント留置前後の冠動脈造影
確認項目 | 行う目的 | |
冠動脈造影 (ステント留置前) |
・狭窄病変の位置 ・病変形態 |
どの道具(ワイヤー・バルーン・ステント)を使うか、どのようにステントを留置していくかといった、大まかな治療戦略を立てる。 |
冠動脈造影 (ステント留置後) |
・治療病変の状態 ・PCIの成功不成功の判断 |
手技が成功したか最終確認するため。 (ステント留置によって血行不良が改善したら手技成功) |
■ステント留置前後のIVUS
確認項目 | 行う目的 | |
IVUS (ステント留置前) |
・病変の性質(石灰化など) ・病変の長さ ・病変部の血管径 |
使用するバルーン・ステントの種類と長さ、径、そして、どのようにステントを留置するのかを最終決定する。 |
IVUS (ステント留置後) |
・留置されたステントの状態を確認 ・ステント留置により内皮が傷ついていないか確認 |
ステントが安全に留置できたかどうかを確認するため (血管径よりもステントの径が小さかったり、ステント留置により血管内皮が傷ついていると良くない) |
■ステント留置前後のバルーン拡張
行う目的 | |
前拡張 (ステント留置前) |
ステントはバルーンに比べ、狭窄病変に引っかかりやすいため、病変を事前に広げておいて、ステントが引っかからないようにする |
後拡張 (ステント留置後) |
留置したステントをさらに押し広げ、固定するため。 |
以上の違いをしっかりと押さえて
PCI(経皮的冠動脈形成術)の手技の流れを理解すれば
「ステント留置前にバルーン拡張を行わない」といった
イレギュラーな動きがあったとしても、
「なるほど。ステントが通過するのに十分なスペースがあったから
バルーン拡張しなかったんだな」
といった具合に、手技の状況を推察できるようになるぞ!