さあ、今日もエクササイズの時間だ。
今日のエクササイズはPSVT(発作性上室性頻拍)のアブレーションの流れだぞ!
PSVTとは心房側で起こる発作性の頻拍のことで、狭義の意味ではAVNRT(房室結節リエントリー頻拍)とAVRT(房室リエントリー頻拍)の2つを指すことが多い。
(*この辺りの定義はあいまいで統一見解はなかったはずです。人によってはAT(心房頻拍)をPSVTに含めることもあります。)
カテ室で行われるアブレーションでPSVTといったら、この狭義の意味で使われていることが多い。
だから、「今日はPSVTだよ〜」と言われたら「あっ、AVNRTかAVRTのどっちかのことを言ってるな」とピンとくればOKだ。
PSVTはアブレーションは流れが複雑な上、EPS(電気生理学的検査)でペーシングを入れまくるためその流れを理解するのが難しい。
このエクササイズを通して、どういった流れでPSVTのアブレーションが行われているのか、しっかりマスターしていこう!
これがエクササイズの全貌だ!
PSVTのアブレーションの流れ
①カテーテルの留置
②EPSでAVNRTとAVRTの区別をつける
〜EPSの結果、AVNRTと診断がついた時〜
③スローパスウェイを焼灼
④エンドポイントの確認
〜EPSの結果、AVRTと診断がついた時〜
③ケント束を焼灼
④エンドポイントの確認
PSVTのアブレーションの流れについて、1つずつ確認していくぞ!
①カテーテルの留置
手技が始まると、まずカテーテルを留置していく。
最初に留置するカテーテルはRA/His/RV/CSカテーテルの4種類だ。
このうち、RA/His/RVカテーテルは大腿静脈アプローチで留置していき、CSカテーテルは大腿静脈 or 鎖骨下 or 内頸静脈アプローチの3種類があって病院によってアプローチ部位がまちまちだ。
ちなみに、手技の最初の段階でアブレーションカテーテルは必要ないぞ!
アブレーションカテーテルは、焼灼する場所によってカーブ形状が異なる。
そのため、EPSをやって頻拍起源がある程度わかった段階でないとどのカーブのカテーテルを出すのか分からない。
手技中に物出しをする場合は、最初の段階でアブレーションカテーテルを出してしまわないように気をつけよう。
②EPSでAVNRTとAVRTの区別をつける
RA/His/RV/CSカテーテルの4種類を留置したらEPSを開始する。
EPSでは、様々なバリエーションのペーシングを行い、PSVTの正体がAVNRTかAVRTかを判断していくんだ。
EPSで行われる主なペーシングプログラムは
・エキストラペーシング
・オーバードライブペーシング
・PVCスキャン
の3種類だ。
また場合によってはパラヒシアンペーシングをやることもあるが、行う頻度は他の3つのペーシングプログラムより少なめだ。
〜EPSの結果、AVNRTと診断がついた時〜
EPSの結果、頻拍の正体がAVNRTと確定診断がついたらスローパスウェイを焼灼していくぞ!
(参照:AVNRTの焼灼部位を覚えるエクササイズ)
③スローパスウェイを焼灼
AVNRTは房室結節近傍に存在するファーストパスウェイとスローパスウェイという2重伝導路が原因で起こる。
そこで、AVNRTを治療するためスローパスウェイをアブレーションによって焼灼していくんだ。
こうすることで2重伝導路が断絶し、AVNRTを根治することが出来るぞ!
④エンドポイントの確認
焼灼が一通り完了したら、最後にAVNRTの治療が成功したかどうかを再びEPSで確認していく。
EPSの結果、ISP(通称:イソプロ)負荷下で「ジャンプアップなし」もしくは「ジャンプアップ+1エコー」であれば治療成功と判断し、手技を終了するぞ!
〜EPSの結果、AVRTと診断がついた時〜
EPSの結果、頻拍の正体がAVRTと確定診断がついたらケント束を焼灼していくぞ!
(参照:AVRTの焼灼部位を覚えるエクササイズ)
③ケント束を焼灼
AVRTは弁輪上にあるケント束と呼ばれるショートカット回路が原因で起こる。
そこで、AVRTを治療するためケント束をアブレーションによって焼灼していくぞ!
④エンドポイントの確認
焼灼が一通り完了したら、最後にAVRTの治療が成功したかどうかをATP(アデホス)という薬剤で確認していく。
ATPを静注後、房室伝導、室房伝導の両方が消えれば治療成功と判断時し手技を終了するぞ!
まとめ
PSVTの手技では最初にEPSを行って頻拍の正体がAVNRTかAVRTかを判断していく。
EPSの結果、頻拍の正体が分かったらそれに応じた焼灼部位を焼いていい治療していくぞ!
手技の大枠の流れをしっかり理解し、手技の最中に「今、一体何をやっているのか?」がなんとなくわかるようエクササイズをしっかり復習していこう!