アブレーションのエクササイズ

Paf(発作性心房細動)のアブレーションの流れを覚えるエクササイズだ!

さあ、今日もエクササイズの時間だ。
今日のエクササイズはPaf(発作性心房細動)のアブレーションの流れだぞ!

 

Pafとは、発作性心房細動のことでカテ室ではPaf(パフ)と呼ばれることが多い。
Pafのアブレーションはカテ室でも頻度の高いアブレーションの一つだ。

 

Pafのアブレーションでは焼灼する部位が予め決まっているため、手技の流れを理解するのは簡単だ。
手技の流れをばっちり理解し、手技中に次起こることが先読みできるようエクササイズを通してしっかり押させていこう!

 

これがPafのアブレーションの流れの全貌だ!

 

Pafのアブレーションの流れ

①ブロッケンブロー(心房中隔穿刺)
②肺静脈造影
③左心房の3次元マッピング
④拡大肺静脈隔離(PVアイソレーション)
⑤エンドポイントの確認

 

 

それでは、Pafのアブレーションの流れを一つずつ確認していくぞ!

 

①ブロッケンブロー

ブロッケンブロー法 心房中隔穿刺 テント状ブロッケンブロー(心房中隔穿刺)とは、右心房と左心房の間を隔てている心房中隔にブロッケンブロー針で穴を空けることだ。

 

Pafのアブレーションではブロッケンブローによって空けた穴にシースを挿入し、そのシースの中にリングカテーテルやアブレーションカテーテルを挿入していく。

そうすることで、右房側にあるカテーテルを左房に持っていくことが出来るぞ!

(参照:ブロッケンブロー法を覚えるエクササイズ

 

 

②肺静脈造影

肺静脈造影ブロッケンブローが終わると、次は肺静脈を造影して肺静脈の位置を透視上で確認していく。

 

肺静脈造影は2本の太いシースに造影剤を流して行う。
シースの先端を1本を右肺静脈側に、もう1本を左肺静脈側に向け造影剤を一気に流し込むんだ。

 

肺静脈造影を行う目的は2つある。

・手技中のカテーテル操作を正確に行うため
・肺静脈の大きさと形を確認するため

以上の2つだ。

 

拡大肺静脈隔離中のリングカテーテルやアブレーションカテーテルの操作は3Dマッピング装置と透視画像の両方で確認しながら慎重に行っていく。
そのため、透視画像を確認しながらカテーテルを操作する際に、予め肺静脈の位置を造影で知っておくことで心臓の解剖をイメージしながら正確にカテーテルを操作することが出来るぞ!

 

また、肺静脈の大きさと形を確認することも肺静脈造影の目的の一つだ。
これらは本来CT画像からも予め分かる情報だが、再発のPafのアブレーションの場合、前回の症例で使用したCTをそのまま使うことがある。
特にそういったケースでは、肺静脈造影によって最新の肺静脈の形状を確認する必要があるぞ!

 

肺静脈造影を行う際は、右心房に留置してあるHisカテを右心室に留置し、300ms(200bpm)でオーバードライブペーシングを行う。
これは、右心室起源のVTを人為的に再現することで心臓の心拍出量を低下させ、肺静脈造影時に、造影剤が左心房に留まりやすくするための工夫だ。

 

また、300msのハイレートペーシングを長時間続けると血圧が急激に落ちてくる。
ペーシングの際は、造影直前に術者の合図でペーシングをスタートし、肺静脈がきれいに造影できたことを確認したら速やかにペーシングを止める必要があるぞ!

 

 

③左心房の3次元マッピング

肺静脈造影が終わると、次は3次元マッピングを行っていく。

 

3次元マッピングとはカルトやベロシティーといった3次元マッピング装置で心臓の中を3次元画像で描写していくことだ。
完成した3次元画像とCT画像とをマージさせることができるんだ。

 

3次元マッピングをすることでアブカテで通電した場所にタグをつけることができるようになる。

特に拡大肺静脈隔離術では通電部位をタグで記録していくことで手技の精度が高くなり、また手技時間も短縮できるぞ!

 

 

④拡大肺静脈隔離(PVアイソレーション)

拡大肺静脈隔離術3次元マッピングの次はいよいよ通電だ。

 

Pafのアブレーションでは拡大肺静脈隔離といって、左右の肺静脈をぐるりと囲むように焼灼して肺静脈を左心房から電気的に隔離してく。

こうすることで肺静脈から散発的に発生する肺静脈電位が左心房に流れ込むのを防ぎ、心房細動の発生を防ぐことができるぞ!
(参照:発作性心房細動(Paf)の拡大肺静脈隔離を覚えるエクササイズ

 

 

⑤エンドポイントの確認

エンドポイントとは、治療が無事成功したかどうかを評価する項目のことだ。
つまり、エンドポイントで良い結果が出れば治療の成功が客観的に証明できるぞ!

 

Pafのアブレーションでは、手技の最後に拡大肺静脈隔離の成否を判断するため2つの項目を検証していく。

①リングカテーテル上の肺静脈電位
②肺静脈内で行うアブカテペーシング

以上の2項目だ。
(参照:拡大肺静脈隔離術のエンドポイントを覚えるエクササイズ

 

単に解剖学的に肺静脈周りを焼灼したというだけでなく
作成した焼灼ラインがしっかり機能していることを証明して初めて手技が成功したと言える。

 

これら2つのエンドポイントで良い結果を得ることで拡大肺静脈隔離術成功と判断し、手技を終了していくぞ!

 

 

まとめ

①ブロッケンブロー(心房中隔穿刺)
②肺静脈造影
③左心房の3次元マッピング
④拡大肺静脈隔離(PVアイソレーション)
⑤エンドポイントの確認

 

この流れはPafのアブレーションで最も基本的な手技の流れになる。
Pafのアブレーションには、拡大肺静脈隔離以外にもボックスアイソレーションや、上大静脈隔離術といった様々な焼灼方法がある。

 

その中でも、拡大肺静脈隔離術の流れはもっとも基本的な流れであり、他の隔離術を理解する際の土台となるから何度も繰り返し復習するんだ!