さあ、今日もエクササイズの時間だ!
今日のエクササイズは冠動脈バルーンカテーテルだぞ!
冠動脈バルーンカテーテルとは、
経PCI(皮的冠動脈形成術)で使用される冠動脈の狭窄部位を治療するための専用の風船のことだ。
下の動画の1:10以降で解説されているように、
PCIでは冠動脈バルーンカテーテルを狭窄部位に運び拡張させることで、
狭窄している病変を広げ、血流を確保しにいくぞ!
冠動脈バルーンカテーテルには、大きく分類して2種類のカテーテルがある。
エクササイズを通して、2種類の冠動脈バルーンカテーテルの特徴とPCIでの使いどころをしっかりマスターするんだ!
これが冠動脈バルーンカテーテルの全体像だ!↓
2種類の冠動脈バルーンカテーテルの特徴と使いどころ
種類 | 特徴 | 使いどころ |
セミコンバルーン | やわらかい素材でできたバルーン通過性能に優れる拡張性性能は劣る | ステント留置前に病変を前拡張させるために使用 |
ノンコンバルーン | 固い素材でできたバルーン拡張性能に優れる通過性能は劣る | ステント留置後にステントを病変に圧着させる(=後拡張)ために使用高度石灰化病変などの固い病変の拡張に使われる事もある |
冠動脈バルーンカテーテルについて整理していくぞ!
そもそも、冠動脈バルーンカテーテルってなに?
冠動脈バルーンカテーテルとは、PCIで使用される冠動脈専用の小さい風船のことだ。
冠動脈の病変部に運び、下の動画のように膨らませることで病変を拡張させるぞ!
セミコンバルーンとノンコンバルーンの比較
セミコンバルーンとノンコンバルーンは
共にPCIで最も使用頻度の高いバルーンだ。
■セミコンバルーンにの特徴と役割
セミコンバルーンは、ノンコンバルーンと比べやわらかい素材で出来ており
ぐにゃぐにゃに曲がった蛇行血管でもしなやかに通過させることができるのが特徴だ。
セミコンバルーンは通過性が高いため
PCIではステント留置前の前拡張で使われることが多い。
(参照:PCIの手技手順を覚えるエクササイズだ!)
ステント留置前にあらかじめ病変を拡張しておく事で
ステントを通過させやすくするほか、ステントを広がりやすくする役割を担っているぞ!
■ノンコンバルーンの特徴と役割
ノンコンバルーンは、セミコンバルーンと比べ固い素材で出来ている。
そのため、通過性が若干劣るデメリットはあるものの、
優れた拡張力で確実に病変部を拡張させる事が出来る。
ノンコンバルーンは拡張力が高いため
PCIではステント留置後の後拡張で使われることが多い。
(参照:PCIの手技手順を覚えるエクササイズだ!)
ステント留置後、病変部をしっかり拡張させることで
ステントを血管壁に圧着させる役割をに担っているぞ!
セミコンバルーンとノンコンバルーンの特性の違いは
下の動画がとても分かりやすいぞ!
この動画はセミコンバルーンとノンコンバルーン特性の違いを解説している。
動画の上のバルーンがセミコンバルーンで、
動画の下のバルーンがノンコンバルーンだ。
動画の0:20地点でセミコンバルーンが
病変の固さに負けて変形しているのがわかるだろうか?
この現象を「ドッグボーン現象」と呼ぶのだが
セミコンバルーンは拡張力が高くないため
固い病変を拡張しようとすると、
しばしばドッグボーン現象を引き起こし結果的に拡張不良となるぞ!
逆に、ノンコンバルーンなら固い病変を拡張してもドッグボーン現象を起しにくく、
確実な病変拡張が可能だ。
病変の拡張力と、バルーンの通過性のバランスを上手に考え
戦略的にバルーンカテーテルを使い分けていくんだ!
セミコンバルーンとノンコンバルーンの見分け方
カテ室でセミコンバルーンとノンコンバルーンを見分けようと思っても、
商品のパッケージに「これはセミコンですよ〜」とか書いてあるわけではない。
じゃぁ、どうやって見分けたら良いのか?
それは商品のパッケージに書いてあるコンプライアンスチャートを見て瞬時に判断できるぞ!
商品のパッケージには、必ず「何気圧でどれくらい広がるか」を示すコンプライアンスチャートが書かれている。
コンプライアンスチャートを見て、
ノミナール圧(推奨拡張圧 / NP)が10気圧より低ければセミコンバルーン、
ノミナール圧(推奨拡張圧 / NP)が10気圧以上ならノンコンバルーンだ。
まとめ
セミコンバルーンとノンコンバルーンは、
冠動脈バルーンカテーテルの中でも最も基本的なバルーンだ。
使用頻度が非常に高く、ほとんどの症例で使用するため
何度もエクササイズを復習して、セミコンとノンコンの特徴と使い分けをしっかり頭に叩き込もう!