さあ、今日もエクササイズの時間だ。
今日のエクササイズは左心室造影(LVG)だぞ!
左室造影(LVG)は左心カテとも呼ばれ、ピッグテールカテーテルという先端が丸まった特殊なカテーテルを用いて行われる。
カテ室で頻繁に行われる検査の一つだ。
非常に重要な手技だから、このエクササイズでしっかりとマスターするんだ!
これが左室造影(LVG)を覚えるエクササイズの全貌だ!↓↓
■左室造影(LVG)の主な目的
・左心室壁が正常に動いているかを判断する(左室壁運動の評価)
・心臓が血液を送り出す能力が十分にあるか判断する(心駆出率(=EF)の計算)
・僧房弁に異常がないか判断する(僧房弁閉鎖不全(MR)の重症度評価)
・左室壁が分厚くなっていないか判断する(左室壁肥厚の評価)
■左室造影(LVG)で使用するカテーテル
・ピッグテールカテーテル
(*マルチパーパスカテーテルを使うこともある)
■造影方法
動脈から左心室にピッグテールカテーテルを挿入し、
インジェクターを用いて造影剤を一気に流す。
![左心室造影 LVG ピッグテールカテーテル](http://med-server.lolipop.jp/cc-bootcamp/wp-content/uploads/LVG-_thumb.gif)
■左室壁運動の評価方法
![左室造影 LVG 評価](https://med-infom.com/wp-content/uploads/2011/07/7d33f90b926f77b28630d852286fb372.png)
左室造影(LVG)について整理していくぞ!
左室造影(LVG)とは
左室造影(LVG:Left Ventriculogram)とは、
左心室内を造影する検査の事で、
・左心室壁が正常に動いているかを判断する(左室壁運動の評価)
・心臓が血液を送り出す能力が十分にあるか判断する(心駆出率(=EF)の計算)
・僧房弁に異常がないか判断する(僧房弁逆流の重症度評価)
・左室壁が分厚くなっていないか判断する(左室壁肥厚の評価)
以上が主な検査目的になるぞ!
それ以外にも、造影時に血栓が心腔内に留まっていないか、
また、心室中隔欠損や心室中隔穿孔によるシャントの方向や量を確かめることもできるんだ。
左室造影で使用するカテーテル
左室造影では、ピッグテールカテーテルという
先端が丸まった専用のカテーテルを使うのが一般的だ。
![左心室造影 LVG ピッグテールカテーテル](http://med-server.lolipop.jp/cc-bootcamp/wp-content/uploads/LVG-_thumb.gif)
また、ピッグテールカテーテル以外でも、
マルチパーパスカテーテルといったCAG(冠動脈造影)用のカテーテルを使って
左室造影することも技術的には可能だ。
しかし、マルチパーパスカテーテルでの左室造影では
心室期外収縮を誘発しやすく、正確な壁運動及び心駆出率を算出しづらい。
また、造影剤の勢いで大動脈までカテーテルがはねてしまい、
大動脈解離を引き起こす可能性がピッグテールに比べて高いんだ。
そのため、あまり一般的な方法ではないぞ!
左室壁運動の評価方法
左室壁運動の評価は、
左室造影中の拡張末期と収縮末期の壁の状態で評価していくぞ!
正常収縮(nomokinesis)
左室壁運動の正常収縮では
拡張末期と収縮末期で心臓が均一に十分収縮している様子が観察できるぞ!
![正常収縮(nomokinesis)](https://med-infom.com/wp-content/uploads/2011/07/edea6dd00f1d1bdf4d84c2d3dffac29c.png)
収縮低下(hypokinesis)
左室壁運動の収縮低下では
拡張末期と収縮末期で心臓が均一に収縮しているが、
その収縮が十分でない様子が観察できるぞ!
![収縮低下(hypokinesis)](https://med-infom.com/wp-content/uploads/2011/07/09aa2024bb673286493ee4ca194b29d9.png)
不均一収縮(asyneresis)
左室壁運動の不均一収縮では
拡張末期と収縮末期で心臓壁の一部が十分に収縮せず、
結果、全体での収縮が不均一になる様子が観察できるぞ!
![不均一収縮(asyneresis)](https://med-infom.com/wp-content/uploads/2011/07/ca1553aed1d5af97ab7ff6746f5c8909.png)
無収縮(akinesis)
左室壁運動の無収縮では
拡張末期と収縮末期で心臓壁の一部が全く収縮せず、
結果、全体での収縮が不均一になる様子が観察できるぞ!
![無収縮(akinesis)](https://med-infom.com/wp-content/uploads/2011/07/06ed07430ae9c6ae01cd93f04c7769d4.png)
収縮期膨隆(dyskinesis)
左室壁運動の収縮期膨隆では
収縮末期での心臓壁の一部が拡張末期より脹らみ、
結果、全体での収縮が不均一になる様子が観察できるぞ!
![収縮期膨隆(dyskinesis)](https://med-infom.com/wp-content/uploads/2011/07/1b6309702e77653c44dcaf8794e9fd02.png)
時差収縮(asynchrony)
左室壁運動の時差収縮では
心臓の収縮タイミングが均一でなく
心臓壁の収縮がいびつなリズムで起こる様子が観察できるぞ1
![時差収縮(asynchrony)](https://med-infom.com/wp-content/uploads/2011/07/04b64c779f70a7330a664c3de872b83b.png)
心駆出率(=EF)の計算
心駆出率(=EF)は、
心臓がどれくらいしっかりと血液を送れているか示す数値だ。
正常値の目安は67±8で、単位は%だぞ!
EFの正常値の目安=67±8 (%)
EFは左室拡張末期の容積(=EDV)と
左室収縮末期の容積(=ESV)から計算できるぞ!
①まず、1回の拍出量(SV)を計算する
EDVからESVを引くことで、一回の拍出量が計算できる。
EDV(左室拡張末期容積) — ESV(左室収縮末期容積) = SV(1回の拍出量)
②SVとEDVからEFを算出する。
SVをEDVで割ることで、
左室に流入した血液のうち、何%が全身に送り出されたのか(=EF)が計算できるぞ!
SV(1回の拍出量) / EDV(左室拡張末期容積)= EF(心駆出率)
実務では、これらの数値はすべて自動計算で出されてくる。
だから、毎回電卓で計算する必要はないが
EFがどういった概念でどのように算出されているか理解だけはしておこう!
僧房弁閉鎖不全(MR)の評価方法
僧帽弁閉鎖不全(MR)の患者さんに対し左室造影を行うと
収縮期に左心房側に造影剤が逆流する様子が観察できる。
その時の逆流の勢いと量から、僧房弁不全の重症度を把握することができるぞ1
左室壁肥厚の評価
心不全や不整脈による合併症で左室壁が肥大していると
LVGを行った際に心臓がパンパンに膨れ上がり
収縮機能が低下している様子が観察できるぞ!
この時の左室壁の分厚さと左室壁運動から
左室壁肥厚による心機能への影響を把握することができるぞ!