心臓カテーテル検査のエクササイズ

スワンガンツ(Swan-Ganz)カテーテルを覚えるエクササイズだ!

心カテブートキャンプにようこそ!
当サイトでは、心カテ室の新人スタッフ向けに、心カテスキルを短期間で高める特別エクササイズを提供しているぞ!

このページでは「スワンガンツカテーテル」を覚えていこう!

スワンガンツは右心カテに分類される手技で、心臓内部の血液の流れを把握することができる。
そこから得られた情報を元に心機能の異常がわかるぞ!

スワンガンツは心カテ室で頻繁に行われる検査の一つだ!

どのような手技で、そこから何がわかるのか。
エクササイズを通してしっかりとマスターしよう!

なお、記事の末尾では、スワンガンツカテーテルの要点をクイズ形式で覚えれるエクササイズシートを配布してるぞ!
上手に活用し、効率よく覚えていこう!

 

これがスワンガンツカテーテルを覚えるエクササイズの全貌だ!↓

 

■スワンガンツカテーテル検査の目的

心不全や短絡疾患が疑われる患者さんに対し、

心機能異常の詳細な把握(何処でどんな異常が起こっているのか)

をするために行われる。

 

■検査項目

・心内圧の測定

・心拍出量(Cardiac Output: CO) の測定

・酸素飽和度の測定

 

■カテーテルのアプローチ部位

スワンガンツ アプローチ
和名 英名
大腿静脈 Femoral vein
上腕静脈 Brachial vein
鎖骨下静脈 Subclavian vein
内頚静脈 Internal Jugular vein

 

 

 

■心内圧の測定部位スワンガンツ 心内圧測定

和名 英名 略語
肺動脈楔入圧 Pulmonary Capillary Wedge Pressure PCWP
肺動脈圧 Pulmonary Arterial Pressure PAP
右室圧 Right Ventricular Pressure RVP
右房圧 Right Atrial Pressure RAP
中心静脈圧 Centeral Venous Pressure CVP

 

 

■各部位の心内圧正常値と変動要因

部位 正常値(mmHg) 変動要因
PCWP 平均圧:6~12 平均圧上昇:左心不全平均圧低下:循環血液量の減少
PAP 収縮期:15~25拡張期:8~15平均圧:10~20 収縮期圧上昇:肺梗塞拡張期圧上昇:左心不全
RVP 収縮期:15~25拡張期:0~8 収縮圧上昇:肺高血圧症、肺動脈狭窄拡張期圧上昇:右心不全、心タンポナーデ
RAP -1~7平均圧:4 平均圧上昇:右心不全、心タンポナーデ平均圧低下:循環血量の減少
CVP 平均圧:2~8 平均圧上昇:循環血液量の上昇、右心不全、心タンポナーデ)、過剰輸液(輸血)平均圧低下:循環血量の減少

 

 

■熱稀釈法による心拍出量(Cardiac Output:CO)の測定

熱稀釈法 スワンガンツ

心拍出量(CO)の測定は、

右心房にある注入用側孔から

少量の冷水(10mlほど)を勢いよく流し

血液の温度変化をカテ先端の温度センサで感知することで行います。

 

注入される冷水が一定のため、

一度下がった血液温度が戻るまでの時間を測定することで

心拍出量(CO)が測定できます。

 

 

スワンガンツ(Swan-Ganz)カテーテルを整理していくぞ!

 

なぜスワンガンツを行うのか?

スワンガンツを使った検査は、心不全や短絡疾患(=中隔欠損)が疑われる患者さんに対して行われる。

 

スワンガンツカテを使うことで、

心内圧、心拍出量(Cardiac Output: CO) そして酸素飽和度

この3つを測定できるのだが、

そもそもなぜそんな数値を測定しなければならないのか?

ここが重要だ!

 

心不全や短絡疾患といった心疾患が原因で心機能が低下した場合、

必ず心臓の血行動態(血の流れ方)に異常が起こる。

そこで、スワンガンツを使うことで

心臓の血行動態を詳細に調べられ、

心臓の何処でどんな異常が起こっているかを把握できるんだ!

 

つまり、

心機能異常の詳細な把握(何処でどんな異常が起こっているのか)

これが、スワンガンツを行う目的だ!

 

スワンガンツで得られた数値は

その後の治療方針の決定に影響するから

とても重要な検査だぞ!

 

検査項目

スワンガンツの検査項目は3つだ。

・心内圧の測定

・心拍出量(Cardiac Output: CO) の測定

・酸素飽和度の測定

 

この3つのうち、

・心内圧測定

・心拍出量(CO)

この2つは、

主に急性心不全の重症度を知るための指標、「フォレスター分類」に重要な数値だ。

参照:フォレスター(Forrester)分類を覚えるエクササイズだ!

 

そして、

・酸素飽和度の測定

は、短絡疾患の診断に重要だぞ!

 

 

スワンガンツカテーテルのアプローチ部位

スワンガンツカテは右心カテだから

静脈からアプローチするぞ!スワンガンツ アプローチ

 

アプローチ可能な箇所は

和名 英名
大腿静脈 Femoral vein
上腕静脈 Brachial vein
鎖骨下静脈 Subclavian vein
内頚静脈 Internal Jugular vein

 

の4箇所。

この4箇所は和名・英名のセットで覚えるんだ!

 

この4箇所の内、特に頻繁に使われるのは

大腿静脈

上腕静脈

この2箇所だ!

この2箇所は最初に必ず覚えておくんだぞ!

 

心内圧の測定箇所

スワンガンツでの心内圧測定箇所は5箇所だ!

スワンガンツ 心内圧測定

 

和名 英名 略語
肺動脈楔入圧 Pulmonary Capillary Wedge Pressure PCWP
肺動脈圧 Pulmonary Arterial Pressure PAP
右室圧 Right Ventricular Pressure RVP
右房圧 Right Arterial Pressure RAP
中心静脈圧 Centeral Venous Pressure CVP

この5箇所のうち、一番重要なのが

PCWP (肺動脈楔入(せつにゅう)圧)だ!

なぜなら、PCWPの数値がフォレスター分類でも使われるからだ!

スワンガンツを行うときは、必ずPCWPの数値を押さえるんだぞ!

これら5つの測定箇所は知っていて当然のMUST知識だ。

和名・英名・略語を3つセットですべて暗記しよう!

 

 

各部位の心内圧正常値と変動要因

各部位の正常値と変動要因は下の表にまとまっている。↓

部位 正常値(mmHg) 変動要因
PCWP 平均圧:6~12 平均圧上昇:左心不全平均圧低下:循環血液量の減少
PAP 収縮期:15~25拡張期:8~15平均圧:10~20 収縮期圧上昇:肺梗塞拡張期圧上昇:左心不全
RVP 収縮期:15~25拡張期:0~8 収縮圧上昇:肺高血圧症、肺動脈狭窄拡張期圧上昇:右心不全、心タンポナーデ
RAP -1~7平均圧:4 平均圧上昇:右心不全、心タンポナーデ平均圧低下:循環血量の減少
CVP 平均圧:2~8 平均圧上昇:循環血液量の上昇、右心不全、心タンポナーデ)、過剰輸液(輸血)平均圧低下:循環血量の減少

ざっくりと説明すると、

PCWPで異常があった場合、左心に異常があるぞ!

CVPで異常があった場合、右心に異常があるぞ!

このざっくりとしたイメージを最初に押さえておこう!

 

部位と正常値で一番重要なのは

PCWPの数値だ。

PCWPの数値はフォレスター分類で使用される。

PCWPの正常値が6~12mmHgであることを、

一番最初に覚えるんだ!

 

熱稀釈法による、心拍出量(CO)の測定

熱稀釈法 スワンガンツ

心拍出量(CO)は、冷水を右心房に注入する

熱稀釈法によって行われるぞ!

 

カテ先を肺動脈の奥に進めると、

冷水を注入する注入用側孔が、右心房あたりに位置すんだ。

この注入用側孔から、0℃の冷水を勢い良く注入すると

心臓内の血液温度が一時的に下がる。

この下がった温度が元に戻るまでの時間を

カテ先端の温度センサで測定することで

おおよその心拍出量(CO)がわかるぞ!

 

熱稀釈法による心拍出量(CO)測定は、

ばらつきがあるため、

2~3回測定してその平均値を取るぞ!

 

心拍出量(CO)の正常値は4~8L/minだ!

 

 

エクササイズシートでスワンガンツカテーテルを覚えよう!

 

スワンガンツエクササイズ① 空欄を埋めて表と文章を完成させるんだ!

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スワンガンツ エクササイズシート

エクササイズシートの3~5ページに、

穴埋め用の文章と表が用意してある。

上の文章と表を参考にして空欄を埋めて

スワンガンツカテの要点を効率よく覚えよう!

 

 

スワンガンツカテーテルの次は、「フォレスター分類」をマスターしよう!

スワンガンツカテーテルを覚えたら、次はフォレスター分類を覚えよう!
スワンガンツで得られた数値がどのように診断に影響するか理解することができるぞ!

次のエクササイズ:フォレスター(Forrester)分類を覚えるエクササイズだ!

 

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