SVCアイソレーション(上大静脈隔離術)は、心房細動のカテーテルアブレーションで行われる手技で上大静脈と右心房を電気的に隔離することで心房細動を治療していきます。
心房細動の多くは、肺静脈起源であり拡大肺静脈隔離術によって治療できるのですが一部、上大静脈に起源を持つものがあります。
こうした一部の心房細動に対して、SVCアイソレーションは有効です。
SVCアイソレーションは再発の発作性心房細動(Paf redo)や持続性心房細動(Pers. Paf)の症例でよく行われます。
SVCアイソレーションの焼灼ライン
SVCアイソレーションでは、洞房結節よりも高い位置で上大静脈を円状に焼灼して隔離していきます。
SVCアイソレーションでの注意点
SVCアイソレーションでは2つの点に注意しなければなりません。
1つ目は横隔神経です。
上大静脈のすぐそばに横隔神経が遠ており、
アブレーションで焼灼する際、横隔神経を傷つけないように気をつける必要があります。
具体的には、横隔神経付近を焼灼する際にアブカテペーシングを行い、横隔膜のツィッティングを確認します。
もしアブカテペーシングでツィッティングするようであれば、横隔神経が近くにあると判断して焼灼部位をずらしていきます。
2つ目は洞房結節です。
SVCアイソレーションでは洞房結節に近い場所を焼灼することもあります。
誤って洞房結節を焼灼してしまうと洞停止になってしまうので、予め洞房結節の位置を3次元マッピング上でタグ付けするなどの工夫をして洞房結節の誤焼灼を未然に防ぎます。
SVCアイソレーションのエンドポイント
ボックスアイソレーションの成否の評価は以下の2通りで行います。
・リングカテーテルを焼灼ラインの直上に留置し、SVC電位がないことを確認する
・焼灼ラインの直上からアブカテペーシングをし、心房でキャプチャーしていないことを確認する
以上の2点が確認できるとSVCアイソレーションの成功が証明され手技が終了します。
もし焼灼ライン直上に留置したリングカテーテルで電位が見られたり、アブカテペーシングが心房でキャプチャーされたらSVCアイソレーションは不成功と見なされ、電位が漏れている箇所を探しにいきます。
SVCアイソレーションは横隔神経や洞房結節など、誤焼灼が許されない難しい場所を焼灼していくため、多少電位が漏れていても深追いせずそのまま手技を終えることも十分あり得ます。