アブレーションのエクササイズ

Paf(発作性心房細動)のアブレーションで使用するカテーテルを覚えるエクササイズだ!

さあ、今日もエクササイズの時間だ。
今日のエクササイズはPafのアブレーションで使用するカテーテルだぞ!

 

Pafとは、発作性心房細動のことでカテ室ではPaf(パフ)と呼ばれることが多い。
Pafのアブレーションはカテ室でも頻度の高いアブレーションの一つだ。

 

Pafのアブレーションでどういった種類のカテーテルが使われているのか?
それぞれのカテーテルを心臓内のどこに配置していのか?
その使用目的は何なのか?

 

このエクササイズを通して、しっかりマスターしよう。

 

これがPafのアブレーションで使用するカテーテルとその配置の全貌だ!

 

 

Pafで使われるカテーテルの種類

・RA-CS(アールエーシーエス)カテーテル
・His(ヒス)カテーテル
・リングカテーテル
・アブレーションカテーテル(イリゲーションタイプ)

 

*使用物品は病院によって若干の違いがあります。
*リングカテーテルは2本使うのが一般的です。

 

 

Pafの基本的なカテーテル配置

paf-cath-pattern

 

 

 

それでは、1つずつ確認していくぞ!

 

 

Pafで使われる4種類のカテーテル

 

Pafの症例では多くの病院で

・リングカテーテル
・RA-CSカテーテル
・Hisカテーテル
・アブレーションカテーテル(イリゲーションタイプ)

の4種類のカテーテルで手技を行っていく。

 

RA-CSカテーテルは鎖骨下静脈、もしくは内頸静脈からアプローチし、その他のカテーテルはすべて大腿静脈アプローチになる。

 

病院によってはRA-CSカテーテルを使用せず、CSカテーテルを留置することもあるぞ。
CSカテーテルを使うメリットは、大腿静脈からアプローチできることだ。
内頸静脈を穿刺する必要がないため、術後の患者さんの負担が少なく、また特に女性の場合の首まわりの穿刺跡を気にしなくて済むんだ。

 

リングカテーテルはPafアブレーション特有のカテーテルでカテーテルの先端に丸い輪っかがついた形をしているのが特徴だぞ!

 

 

Pafの基本的なカテ配置と各カテの使用目的

Pafのアブレーションでは、リングカテーテルを上下それぞれの肺静脈の入口部に留置し、RA-CSカテーテルをCSに留置し、Hisカテーテルを右室に留置していく。
そして、アブレーションカテーテルで肺静脈隔離を行っていくぞ。

 

次に各カテーテルの使用目的について確認していこう。

 

ring-cathリングカテーテルは肺静脈電位を観察するために使われる
リングカテーテルのリング部分には心内電位を観察する為の電極が10〜20個ついている。
この電極を肺静脈の入口部に留置することで、肺静脈電位が確認できるぞ!

 

拡大肺静脈隔離前の肺静脈の入口部にリングカテーテルを留置するとこのような肺静脈電位が観察できる。

 

そして、拡大肺静脈隔離が成功すると、こんな感じで肺静脈電位がパッと消えるぞ!

 

 

 

Hisカテーテルはバックアップペーシングに使われる

心房細動 hisカテーテル拡大肺静脈隔離を行っているとき、特に左下肺静脈付近を焼灼すると心拍数が急激に下がることがある

 

拡大肺静脈隔離に伴う心拍数の低下は、通電を止めればすぐに元に戻るのだが、通電中、洞停止状態になることもあるので、一時的とはいえ危険な状態になる。

 

そこで、右心室に留置してあるHisカテーテルからバックアップペーシングを入れ、急激に落ちた心拍数を補っていくんだ
バックアップペーシングのペーシングレートはおよそ50〜60bpm程度。
患者さんの自己脈より少し遅いくらいでペーシングを入れ、通電後に自己脈が戻ってきたらすぐにペーシングを止めるぞ!

 

このようにバックアップペーシングを入れていくこと、患者さんの負担を軽減し安全に手技を進めていくことができるぞ!

 

 

RA-CSカテーテルを使う目的は主に2つ

心房細動 csカテーテルRA-CSカテーテルは主に2つの目的のために使われるぞ。

①左肺静脈隔離をする際のCSディスタールペーシング
②肺静脈隔離後に行われる肺静脈から左心房への伝導の確認

以上の2つだ。

 

1つずつ確認していこう。

①左肺静脈隔離をする際のCSディスタールペーシング

CSディスタールペーシングとは、RA-CSカテーテルの遠位部(具体的にはCS1-2、もしくはCS3-4あたり)から自己脈よりも少し早いレートでペーシングする手法のことだ。

 

左肺静脈隔離を行っているとき、肺静脈電位と左心耳の電位が重なってしまい見分けがつかなくなることがよくある。
そんな時、CSディスタールペーシングをすると、左心耳の電位と肺静脈電位をきれいに見分けることが出来るんだ。

 

 

拡大肺静脈隔離術ではリングカテーテル上の肺静脈電位を見ながらアブレーションを行っていく。
そのため、左心耳電位と肺静脈電位が重なってしまうと拡大肺静脈隔離が成功したかどうか判断が出来ない。
CSディスタールペーシングをすることで、左心耳電位と重なった肺静脈電位を分離し、拡大肺静脈隔離の成否を判断しやすくなるぞ!
(参照:CSディスタールペーシングを覚えるエクササイズ

 

②肺静脈隔離後の確認ペーシングで、肺静脈から左心房への伝導の確認

Pafのアブレーションの終盤では、拡大肺静脈隔離が本当に成功しているかどうか判断する為、
肺静脈内にアブカテを留置し確認ペーシングを行っていく。
その際、アブカテのペーシングが左心房内に伝導していないことを確認するためRA-CSカテーテルのCS部分の電位を観察するぞ。

 

 

アブカテのペーシングがCS部分でキャプチャーされたら、拡大肺静脈隔離できていない証拠になるため再度、肺静脈周辺のアブレーションラインを確認していく作業になる。
もし、アブカテのペーシングがCS部分でキャプチャーされなかったら、拡大肺静脈隔離成功で手技は終了となるぞ。
(参照:Pafのエンドポイントを覚えるエクササイズ

 

 

アブレーションカテーテル(イリゲーションタイプ)の使用目的

心房細動 アブカテアブレーションカテーテルは心筋を高周波で焼灼するために使われるぞ!
アブレーションカテーテルには大きく分けてイリゲーションタイプとノンイリゲーションタイプの2種類あり、Pafではイリゲーションタイプを使っていく。

 

イリゲーションタイプのアブカテでは、通電中にカテ先端から生理食塩水が出るようになっている
(ちなみに、ノンイリゲーションタイプは生理食塩水が出ない)

 

これにより通電時の温度上昇を最小限に抑え、通電に伴う血栓形成を予防することが出来るぞ!