造影検査時の圧測定のタイミング

心カテ隊員諸君、エクササイズの調子はどうだろうか?

今日はエクサイズを少し休憩して

心カテ隊員から寄せられた相談に答えようと思う。

 

まずは質問の原文だ↓

ポリグラフに関してお聞きしたいと思い、ご連絡しました。

 

造影ののみの場合では、

左冠動脈造影→右冠動脈造影→LVGの流れで行われ、

LVGのために、LVに入った時に1回、そしてLVG終わって引き抜きの際に1回

というのがルーチンの圧記録だと思いました。

そういった流れが一般的で、

かつ上記がポリグラフ担当者の正しいルーチン手技でよかったでしょうか?

 

初歩的なことで申し訳ありませんが、ご教授いただけると幸いです。

 

 

ではこの質問について、詳しく回答していくぞ!

 

 

造影検査時の圧測定は全部で5回だ!

一般的な造影時の圧測定は5回で、そのタイミングは

 

①最初の大動脈圧測定(pre Aorta)

②ピッグテールカテーテルの左心室挿入時の左室圧測定(pre LV)

③左心室造影後の左室圧測定(post LV)

④左室→大動脈への引き抜き圧測定(LV→Aorta)

⑤検査終了後の大動脈圧測定(post Aorta)

 

だぞ!

 

そもそも、なぜ圧測定を行う理由は、

造影によって患者さんの心機能が障害されていないかを把握するためだ。

造影によって心機能が傷害されると、それは圧の変化という形で顕著に現れる。

pre→postと圧を測定し、比較することで

手技を安全に終了したことを証明できるのと、

万が一障害してしまった場合にそれを迅速に把握することができるぞ!

 

 

圧測定の5つのタイミングについて詳しく説明するぞ!

まず、①のpre Aorta圧は、

患者さん入室後一番最初に測定する圧で、

造影検査を行う前の正常圧をレファレンスとして測定するぞ!

この圧を測定することで検査前の圧を知ることができ、

後に測定する⑤検査終了後の圧と比較し造影検査による心機能障害の有無を評価できるんだ。

 

 

次に②のpre LV圧では、

LVG前に心内圧をレファレンスとして測定しておくことで

後に測定する③LVG後のLV圧と比較して、

LVGによる心機能障害の有無を評価できるぞ。

 

 

そして③post LV圧は、

さっき説明した②pre LV圧と比較するための圧だ。

万が一LVGにより心機能障害が起こった場合、

preと比べpostの圧が著しく低下するぞ!

 

 

④の引き抜き圧は、他の圧測定と少し意味合いが違う。

LV→Aortaへの引き抜き圧を見ることで

大動脈弁狭窄症(AS)の診断を行うんだ。

これは、ASの疑いの有る患者さんに対しては必ず行う検査だが、

多くの病院では、そうでない患者さんに対してもLVGのついでに行っている。

「せっかくピッグテールをLVに入れたから、ついでにやってしまおう」程度の軽いノリだ!

あくまで “ついで” ではあるが、意外とあなどれない検査で

これによりASが見つかる患者さんも稀にいるんだ。

通常LV圧とAorta圧はほとんど差がないが、ASの患者さんだと50くらい差が出るぞ!

 

 

⑤post Aorta圧は、

最初に説明した①pre Aorta圧と対になる圧だ。

pre→postが大きく異なる場合、

今回の検査によって何らかの心機能障害が起こったと推測される。

逆に、pre→postで変化がなければ手技が安全に終了した証明になるぞ!

 

 

最後に、造影検査の流れを確認するぞ!

①pre Aorta圧測定

②左冠動脈造影

③右冠動脈造影

④pre LV圧測定

⑤LVG

⑥post LV圧測定

⑦LV-Aorta引き抜き圧測定

⑧post Aorta圧測定

 

以上が造影検査の一連の流れになるぞ!