虚血プレコンディショニングとは、
薬剤を用いて心筋細胞に虚血耐性を持たせ
再灌流時の心筋壊死を抑制することを言うぞ!
カテ室では急性心筋梗塞の患者さんや、
心臓が弱っている患者さんに対してPCIを行う際に
虚血プレコンディショニングを施し心筋を保護していくぞ。
ニコラジルによる虚血プレコンディショニングの機序
カテ室ではニコラジル(製品名:シグマート)を用いて
虚血プレコンディショニングを患者さんに施していく。
ニコラジルによる虚血プレコンディショニングの機序は
3つあるぞ!
①心筋細胞内のイオンチャネルに作用して細胞内のイオンバランスを整える
②心筋細胞を壊死させる酵素を不活化する
③心筋細胞を壊死させる酵素反応を隣の細胞に伝わりにくくする
以上の3つだ。
一つずつ解説しよう。
①心筋細胞内のイオンチャネルに作用して細胞内のイオンバランスを整える
心筋細胞内には多くのイオンがあり、
絶妙なイオンバランスを保ち心筋を正常に働かせている。
ところが、
再灌流時には心筋細胞内のイオンバランスが崩れ
それがきっかけで心筋が壊死してしまう。
ニコラジルには、心筋細胞内のイオンバランスを整える作用がある。
そのため、予めニコラジルを投与しておくと
再灌流時にイオンバランスが崩れにくくなり
心筋の壊死を予防できるぞ!
②心筋細胞を壊死させる酵素を不活化する
すべての心筋細胞は、心筋細胞を壊死させる酵素を持っており、
その酵素が活性化すると心筋細胞が壊死してしまう。
通常、再灌流時にその酵素は活性化し
心筋を壊死させるきっかけとなるが、
ニコラジルには、その酵素を不活化する作用を持っており
予めニコラジルを投与しておくことで
心筋壊死を予防することができるぞ!
③心筋細胞を壊死させる酵素反応を隣の細胞に伝わりにくくする
心筋細胞の壊死は酵素反応によって引き起こされる。
この酵素反応は隣の細胞にも伝わり
一つの細胞が壊死を始めると隣の細胞まで壊死が広がってしまう。
ニコラジルには、その酵素反応を隣の細胞に伝わりにくくする作用があり、
それにより心筋壊死の範囲を最小限に抑えることが出来るぞ!