心室性期外収縮 原因 症状 心電図 治療

心室性期外収縮とは

心室性期外収縮とは、突発的に心臓が異常収縮する不整脈で、「心臓のしゃっくり」とも呼ばれています。

 

心室性期外収縮自体は珍しい不整脈ではなく、健常者でも高頻度で見られるます。
一般的な定期健診では全体の心電図の1%程度の割合で発見され、24時間心電図を記録し続けるホルター心電図では40〜75%の確率で発見されます。

 

ほとんどの心室性期外収縮は治療の必要性がなく、発見されても経過観察となります。

 

子供でも見つかることが多い不整脈で、重症度が高くなければ運動制限なども必要なく経過観察となります。

 

目次

原因
症状
心電図
種類と重症度の判断
治療方法
カテーテルアブレーションについて

 

運営者情報
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心室性期外収縮の原因

 

心室性期外収縮の原因は大きく分けて

 

  • 基礎疾患に起因するもの
  • 生活習慣に起因するもの
  • 医原性のもの

 

の3種類あります。

 

基礎疾患に起因する心室性期外収縮

心室性期外収縮は基礎疾患に伴ってでる場合があります。
心室性期外収縮を誘発しうる基礎疾患として、

 

  • 心筋梗塞
  • 電解質異常
  • 心筋症
  • 心不全
  • 弁膜症
  • 心筋炎
  • 高血圧
  • 慢性肺疾患
  • 内分泌疾患

 

などがあります。

 

生活習慣に起因する心室性期外収縮

生活習慣によって心室性期外収縮がでる場合があります。
心室性期外収縮を誘発しうる生活習慣として

 

  • ストレス
  • 喫煙
  • 過労
  • 睡眠不足
  • 飲酒

 

などが挙げられます。

 

医原性の心室性期外収縮

医療行為に伴う副作用(医原性)によって心室性期外収縮が出る場合があります。

 

  • 薬剤による副作用
  • 心臓の外科手術後の後遺症

 

といったものが心室性期外収縮となりえます。

 

 

 

心室性期外収縮の症状

 

心室性期外収縮は多くの場合、自覚症状はありません。

 

しかし、自覚症状を強く感じる方の場合、

 

  • 強い動悸
  • 脈がとぶ感覚

 

を感じられることがあります。
また、心室性期外収縮が高い頻度で連発する重篤なケースだと

 

  • 血圧低下
  • めまい
  • 失神

 

といった症状がでる場合があります。

 

 

 

心室性期外収縮の心電図

 

心室性期外収縮の心電図特徴は

 

  • QRS波が幅広
  • P波がない

 

の2点です。
心室性期外収縮の心電図では、QRS波と呼ばれる大きな波形の幅が正常波形と比べて広くなります。
また、P波と呼ばれる波形がQRS波が先行しないもの特徴です。

 

 

心室性期外収縮の心電図波形イメージ↓
心室性期外収縮とは 原因/症状/種類/心電図/治療方法
  

 

 

心室性期外収縮の種類とLown分類による重症度判断

 

心室性期外収縮にはいくつかの種類があり、種類によって重症度が異なります。
心室性期外収縮をの種類を重症度別に分けたLown分類と呼ばれる分類方法が臨床では広く知られています。

 

 

Lown分類

Grade

期外収縮の性質や特徴

0

期外収縮なし

1

散発性の心室性期外収縮 (1時間に30発未満)

2

頻発性の心室性期外収縮(1分間に1発以上、もしくは1時間に30発以上)

3

多源性の心室性期外収縮(2種類以上の異なる波形の期外収縮)

4a

2連発する心室性期外収縮

4b

3連発以上、連発する心室性期外収縮

5

R on T型の心室性期外収縮(T波に期外収縮が重なる)

 

Lown分類でグレードが上がればあがるほど重症度が高いと考えられています。

 

一般的に3以上のグレードの期外収縮は重症度が高いと判断されています。

 

4aや4bのような期外収縮の連発を「ショートラン」と呼びます。
「ショートラン」は心室頻拍と呼ばれる致死性不整脈を誘発する危険性があります。
 
また、5のR on T型は心室細動という致死性不整脈を誘発する危険性があります。

 

 

Lown分類以外の重症度の目安

Lown分類以外でも、

 

  • 期外収縮のタイミングが不安定なもの
  • 運動時に期外収縮の数が増加するもの

 

の2種類については、臨床上重症度が高い心室性期外収縮として認知されています。

 

 

 

心室性期外収縮の治療方法

 

心室性期外収縮は適切な治療をうけることで、症状を改善できることがあります。

 

治療の目的

 

治療の主な目的は

 

  • 自覚症状の改善
  • 重篤な頻脈性不整脈の予防
  • 突然死の予防

 

です。

 

治療の手順

 

治療手順は、患者さんの状態によって異なります。

 

 

器質的疾患が原因で起こっている場合

 

期外収縮の原因となる疾患が明らかな場合は、その疾患を改善することで期外収縮の発生頻度を減らしていきます。

 

期外収縮の直接の原因となる器質的心疾患として

  • 虚血
  • 弁膜症
  • 心筋症
  • 高血圧

などが挙げられます。

 

また、期外収縮を誘因となりうる器質的心疾患としては

  • 電解質異常
  • 心不全

などが挙げられます。

 

期外収縮がこれらの要因によって引き起こされていることが強く疑われる場合、まず原因となる器質的心疾患を改善していきます。

 

 

 

生活習慣が原因で起こっている場合

 

心室性期外収縮は生活習慣によっても引き起こされます。

  • ストレス
  • 緊張
  • 過労
  • 睡眠不足
  • 喫煙
  • 飲酒

など、期外収縮を引き起す生活習慣を抱えている場合、生活習慣の改善によって期外収縮の発生頻度を減らすことが期待できます。

 

 

一過性に生じる心室性期外収縮への治療方法

 

一時的な要因によって一過性に期外収縮が生じることもあります。
よくある原因としては

  • 虚血
  • 心不全
  • ストレス
  • 喫煙
  • 緊張

などです。

 

そのような場合は、原因となる要因を改善することで期外収縮の頻度を減らすことができます。

 

 

自覚症状が強い場合、重篤な場合の治療方法 

 

自覚症状が強く、日常生活に支障をきたす場合は抗不整脈薬によって症状の改善が期待できます。
また、患者さんの状態によってはカテーテルアブレーション治療によって根治治療を試みることもあります。

 

 

 

心室性期外収縮へのカテーテルアブレーションについて

 

カテーテルアブレーション治療では、期外収縮の原因となっている悪い心筋を高周波で焼灼していきます。
手術時間は2時間程度です。

 

手術中は、使用する薬剤の影響で胸がドキドキすることがあります。
心室性期外収縮とは 原因/症状/種類/心電図/治療方法

 

 

 

手術を受ける際の注意点

手術中は絶対に体を動かしてはいけません。

 

手術は心臓の中にカテーテルと呼ばれる細い管をいれて治療を行っていきます。
そのため、手術中に動くことはとても危険な行為です。

 

手術は局所麻酔によって行いますので、常に意識がある状態になります。
脚がかゆくなったり、腰がつらくなっても体を動かさずじっとしていましょう。
どうしても我慢できない場合は、そばにいる看護師さんに申し出れば、何らかの対処をいてくれます。

 

 

心室性期外収縮のカテーテルアブレーションの詳細についてはこちらのページを参照ください。